群ようこさん著 「ビーの話」~1

あるじです群ようこさんの猫に関するエッセーを読んでいると、とてもこころが和むことがあります。それは、のらちゃんたちへの暖かいまなざしですのらちゃんの様子を確認するために群さんはよくお散歩をされているようです。





ビーの話






「ビーの話」に出てくる、それはそんなのらちゃん散歩のお話の1つ。情景が目の前に浮かびそうな、ほほえましい・あたたかいお話です。





群ようこさん著
「ビーの話」


以下に引用する文の全ての著作権は、著者に帰属します。



 
また別の散歩ルートの途中に、単身者用の古びたアパートがある。その前を通るといつも、三匹の猫が遊んでいる。親子ではなく、ただ近所ののら猫が集まっているふうだった。かわいがられているのか、彼らは人に慣れていて、私がそばにしゃがみ込むと、近寄ってきて、

「さすって」

といわんばかりに、お腹を上にしてごろりと仰向けになったりした。
 そっとアパートの一階を覗くと、小さなテラスに器が三つ、並べられていた。

「ここで御飯をもらっているんだね。よかったね」

そういうと猫たちは、いわれたことがわかっているのかいないのか、後ろ足で首筋を掻いたりしていた。それから私は、アパートの前を通ると、いつもその猫たちがいるかどうか、確認していたのだ。
 ある日、アパートの前を通ると、猫たちに餌をやっていた部屋の住民が引っ越していた。猫たちはアパートの通路をうろうろしている。

「いったい、この猫たちはこれからどうなるのかしら」

私はちょっと心配になった。そこにずっと住んでいるのならともかく、仮住まいでのら猫に餌をやるというのも、人間の勝手というか、なかなか難しい問題である。もしも、次に引っ越してきた人が、猫嫌いだったらば、この三匹はもちろん追い出される。そうなったらそうなったで仕方ないのだが、気になってならなかった。
 それから半月ほどたって、私はそのアパートの前を通った。もうあの猫たちは姿を消しているのではないかと思っていた。ところが三匹の猫は、道路の端でのんびりと横になっている。

「元気にしてたのか」

そういうと三匹は、尻尾をぱたんぱたんと動かした。今度、その部屋に引っ越してきた人は音楽好きなようで、ガラス窓にロック関係のポスターが貼ってあるが外から見える。カーテンがわりの布も、赤い地に黄色とオレンジの絞り染めという、派手なものだった。どこで御飯をもらっているのかしら、とりあえずは何とかやっているんだなと、ちょっとほっとしていると、

「おーい」

と若い男性の声がした。その声がすると同時に、三匹はすさまじい勢いで庭のほうに走っていった。そっと覗いてみると、二十歳くらいの長い茶髪の男性が、両手にお皿を持ち、

「御飯だよお」

といいながら、テラスに出てきたところだった。猫たちは、にゃおにゃおいいながら、お皿にむしゃぶりついている。彼はその場にしゃがみ、

「おいしい?おいしい?」

と猫たちに一生懸命に話しかけている。猫が、

「うにゃ」

と鳴いたりすると、

「そうなの、おいしいか。よかったなあ」

といいながら、彼もにこにこしているのだった。




こういうお話を読むと、のらちゃんたちの幸せをなにとぞ・・・と祈ってしまいます。


なんだか最近、通勤の京王線の中で群さんのエッセーを読んで朝から癒しを貰っています




                        


群ようこさん著 「ビーの話」~2

群ようこさん著 「トラちゃん」


                        




ビーの話

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この記事へのコメント

2007年06月28日 14:03
こういうエッセーを読むと
癒されますよね。
わかります~
心の中がホワンッて温かくなる感じ。
素敵だよね~♪
2007年06月28日 19:49
こんばんわぁ
群ようこさんの著書が時々紹介されてますが
お好きなんですねぇ。
私も好きですよ
暖かい気持ちになれますものね

きっかけはトラちゃんでしたが、ビーの話も
しいちゃんも大好きです。
こうやって見てみたら
また、読み返してみたくなりました。
2007年06月29日 00:26
☆ジェイエイさん

そうなの。
群さんの文章を読んでいると、目の前に心温かな情景・風景が見えてくるような気がするの。物静かであたたかな、臨場感あふれる描写だと思うんだぁ。。。
2007年06月29日 00:30
☆ふぐにゃんさん

こんばんは~♪
ふぐにゃんさんも群さんをお読みになるんですね。会社の同僚(にゃん家族)も、群さんを読んでいました。「金魚のよしこさん」の話で今日の夕方、爆笑してしまいました。猫好きにはたまらないエッセーですよね。まだ、2冊しか読んでいないので他の著書も読もうと思っています。実は、次は「しいちゃん」を予定しているんですよ。

「ビーの話」のビーちゃんは、「やっぱり猫が好き」に出演中のもたいまさこさんが飼ってらした猫だったのですね。。。いわば、ビーちゃんがあの番組を生んだともいえると知って今更ながらに驚きました(^_^)
2007年06月29日 15:15
「野良猫に餌をやらないでください」という看板が出ていると、考えてしまいます。猫だからこんな事言えるけど、これが人間だったら?お腹を空かしている人に食事をあげないでくださいなんていえるの?なんてね。
でも、私は基本的にはご飯をあげるようになったらその猫の最後まで面倒をみる覚悟を持って欲しいと思います。かわいいから、かわいそうだからの気持ちだけで一時だけかわいがるのはどうかなと思います。
ある意味、人間になついてしまった猫は危険と隣り合わせでもあるからです。悪い人間を区別できないからです。

ペットブームの中、かわいそうな野良ニャンが増えているのも現実・・悲しいことですね。
2007年06月30日 15:33
☆ノアさん

こんにちは♪

>にはご飯をあげるようになったらその猫の最後まで面倒をみる覚悟を持って欲しいと思います。かわいいから、かわいそうだからの気持ちだけで一時だけかわいがるのはどうかなと思います。ある意味、人間になついてしまった猫は危険と隣り合わせでもあるからです

私もそう思います。確かに難しい問題ですよね。。。何が猫にとっての幸せかについての考え方が人様々だろうから、仮住まいでも餌をあげている人も悪意はまったくないとおもうけれど、何か不幸な偶然が重なった場合、猫の生命が危険にさらされることになるわけですしね。。。

群さんのエッセーでは、群さん自身はノラさんたちの生活や無事を確認しつつ干渉し過ぎないけれど、温かく見守っているところに群さんの考え方が現れているように思いました。。。(^^)

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